世界のニュースを映画批評風に考察してみる第4弾。今回は、ホルムズ海峡への有志連合艦隊派遣について考察してみたいと思います。第2弾の続きですね。

第1弾:イギリスのメイ首相辞任の感想と考察(2019/5/26)
第2弾:安倍首相のイラン訪問を映画批評風に考察してみる(2019/6/16)
第3弾:G20大阪サミットの米中対決を映画批評風に考察してみる(2019/7/1)

いつも通りにニュースの”点”ではなく、”線”もしくは”面”で、それまでの流れと今後の流れも考えながら考察してみたいと思います。といっても、株好きの素人オヤジが原油高を心配しながら居酒屋でくだ巻いているレベルですので、気軽に読んでください(いっつも言っていますがw)。


ざっくりとあらすじ
(スターウォーズのイントロ風に)
日本に衝撃が走った。

日本企業所属のタンカーがホルムズ海峡で攻撃されたが、

「自国のタンカーは自分で守れ!」

トランプ大統領がそう放言したのだ。



中国の92%、日本の62%の原油がホルムズ海峡を通っている。

これまでその安全保障は米軍が主に担ってきたが、

アメリカから遠く離れた場所の安全保障に,

トランプ大統領は価値を見出すことができないでいた。



一方でアメリカとイランの間の軍事的緊張も高まっている。

「そうだ!同盟諸国で合同でホルムズ海峡の船舶護衛をしようZE!」

アメリカ政府の突然の有志連合艦隊の提案に、

日本はまたも翻弄されるのであった・・・



感想と考察
「有志連合」に参加するか否か。

これは極めて難しい問題で、21世紀の日本の方向性を大きく決定づけることになるのではと思います。


ニュースを”点”で判断して、「賛成だ」「反対だ」というのではなく、ここでは世界史の流れの中で今後日本はどういうポジションを目指すのか、という観点を盛り込んで考えてみたいと思います。

まず、想定される最悪のケースの考察から。

①参加した場合の最悪のシナリオ
船舶護衛の有志連合艦隊が、イラン攻撃のための多国籍軍に転用される。日本はアメリカとイランの戦争に巻き込まれ、戦後初めて自衛隊に戦闘での死者が出る。さらに、日本とイランの伝統的な友好関係は終わりとなり、日本はイランから見て「敵国」になってしまう。


②参加しなかった場合の最悪のシナリオ
「やっぱりジャップは信用できん!」とアメリカから見放される。「アメリカは日本を守っているが、アメリカが攻撃されても日本人はソニーのテレビで見ているだけだ」とのことが実証されることになる。日本は有志連合参加国から孤立の道を歩む。もっと悪いことに、中国が有志連合艦隊に入る。イラン危機終結後は、ホルムズ海峡からインド洋にかけての安全保障を、主に中国が担うようになる。タンカー輸送の安全保障を、アメリカではなく中国に依存することになる。そして最悪の事態、中国が尖閣諸島に侵攻しても、アメリカは助けてくれない。「だってイラン危機のとき、日本もアメリカを見捨てたでしょ」と。そして、尖閣は中国の手に落ちる。

※実際にロシア・中国主導の有志連合の構想はあるようです。

どちらも背筋が凍るようなシナリオです。あなたはどちらのシナリオがお好みですか?



もう少し楽観的なシナリオも考えてみましょう。
③参加した場合の楽観的なシナリオ
有志連合艦隊の任務は、民間タンカー護衛のための平和的任務に限定される。アメリカとイランの危機も収束に向かう。日本の海上自衛隊は、ホルムズ海峡からインド洋にかけてのプレゼンスを確立する。アメリカから「日本も案外頼りになるじゃん。尖閣諸島危機のときには助けてやるゼ!」となる。

④参加しなかった場合の楽観的なシナリオ
「だよね~日本はソニーのテレビで見ているだけだよね~別に期待していなかったよ!」となる。見た目上は変化なし。

あなたはどちらのシナリオがお好みですか? 笑


アメリカの狙い
トランプ大統領は明らかに「金のかかることが大嫌い」です。なので、ホルムズ海峡の安全保障を米軍だけが担っている現状を好まず、負担を同盟国に振り分けたい狙いがあると考えます。これは、オバマ大統領時代からの「リバランス」の延長線上にもあたります。

また、民間船舶護衛のための名目としつつ、実質的にはイランに対してプレッシャーをかける多国籍軍としての役割も期待していると思われます。イラン攻撃に際して、国際世論を味方につけるための下準備でもあります。ただし、共和党主流派と軍産複合体はともかく、トランプ大統領自体は「めちゃくちゃ金のかかる」戦争をどこまで本気でしたいのか分かりません。キリスト教右派へのアピールが最大の目的のように思います。

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キープレーヤー中国
米中貿易戦争が進行中ですので、中国が多国籍軍に入る可能性は低いでしょうが、奇しくもトランプ大統領が「中国の92%、日本の62%の原油がホルムズ海峡を通っている」と指摘しています。ホルムズ海峡有事の際、中国は日本以上に困る立場です。従って、インド洋のみならずこの地にプレゼンスを確立したい狙いはあるはずで、キープレーヤーとして何らかのカードを切ってくる可能性は否定できません。



日本の過去・現在・未来
戦後、アメリカは日本の再武装を恐れ、その結果自衛隊の能力は大幅に限定されることになりました。しかし、21世紀に入り、アメリカの力も衰えました。アメリカはもはや世界の警察としての役割を果たせず、世界からプレゼンスを縮小していく流れの中で、それを補完するために同盟国に負担を強いるようになりました。特に、トランプ大統領はNATOや日本や韓国に、アメリカ軍が守ってやってるんだからもっと金払え!と公言してはばかりません。これが日本のザックリとした日本の置かれている立場の過去と現在。

未来は、「アメリカが縮小し、中国が膨張する流れの中で、日本はどのような役割を果たすか」ということを考える必要があります。大きく、二つの方向性があると思います。

今まで日本はアメリカによって押さえつけられていた部分もあるため、アメリカが弱ってきて「お前も頑張れ」と言っているのを奇貨として、「じゃあ、遠慮なく♪」とちゃっかり力を着けながら世界でプレゼンスを示していくか、あるいは「いや~うちは平和国家なんで、厄介ごとには巻き込まないで~」とあくまで距離を置くか。

前者のケースが上記シナリオの①か③、後者のケースが上記シナリオの②か④といったところになるでしょう。どちらもバラ色の未来ではありません。どちらに進むにせよ、日本には覚悟が求められます。



慎重で懸命な判断を政府には期待したいです。

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