世界のニュースを映画批評風に考察してみるブログ

経済(株)と映画が好きな人のためのブログ。世界のニュースを映画批評風に分析しています。新作旧作問わず、映画批評もやっています。


 

映画ではなく、テレビ番組なのですが・・・2019年3月31日放映(4月7日再放送あり)のNHKスペシャル イチロー最後の闘いを観ての雑記です。

引退スペシャルだったのですが、NHK、イチローというワードでまず連想したのは、「カレー」でした。今回は、カレーは登場しませんでした。


イチロー選手は毎日朝食と昼食を兼ね、カレーライスを食べている。あのNHKの特番が放送されたのは、いつのことだったか。

と思って調べてみたところ、2008年1月2日放送でした。


2008年でしたか。。。ほんの数年前のことのようにも思いますが、もう11年以上前。。。

あれからイチロー選手も我々も歳をとった。時代も平成から令和に変わろうとしています。

イチロー選手は、平成の時代を通して超一流として活躍されました。そして、時代の変わり目にちょうどイチロー選手も引退。ここでは、イチロー選手の成績とともに、平成時代を振り返ってみようと思います。

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いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(3作目)

ざっくりとあらすじ
2作目で、警察に協力することによって罪を消されるはずだったのですが、警察の裏切りにより再び犯罪者になっていまいます。しかし、SOPOXの文字からテロ計画を見抜いた主人公ピエトロ・ズィンニは、テロ防止のため仲間を集め、脱獄を試みようとします。史上最もオタクな脱獄。そして敵と対峙しますが、敵にも涙なしには語れない過去があった。研究者を見捨てようとする大学の闇が描かれますが、最後には希望が・・・



感想と考察(ネタバレ含みます)
3作目での主人公たちの立場は、「グレーな犯罪者」でも「警察側」でもなく、「犯罪者の汚名を着せられているが正義のために闘う人たち」に昇華しています。王道ですが、最も視聴者の感情移入を得やすい設定です。

また、1作目の敵が味方になるというのも、王道中の王道ですが、安心して観れて視聴者の心を最もつかむがゆえに王道なわけです。従って、この作品を3作全体を一つとして考えるなら、素晴らしい構成になっていると言えるでしょう。

この作品、敵も味方も全て研究者というのが、今までにない面白い設定であると同時に、「それほどまでに追い詰められる厳しい研究業界」を示唆しているのだと思います。

敵役も元研究者なのですが、テロを企むマッドサイエンティストというような、ありがちの設定ではないところが白眉です。敵役のドラマも十分に掘り下げられ、大学を憎むに至った動機に説得力がもたされます。

そういうシリアスな描写も増える一方で、しっかりとコメディの要素も残っています。個人的にお気に入りは、オペラのシーン。「原作を超えるアドリブを考えるんだ!」とラテン語学者が豪語してからのグダグダのくだり 笑 

実際にはアドリブではないわけなのですが、アドリブに見せる役者さんたちの演技が素晴らしいです。計算化学者のアルベルトさんの、「俺、どうしたらいいの?」的な迫真の演技が笑えます。しかし、歌うまいですね 笑

3作目とのこともあって、キャラにも愛着がわいてきて、美しい映像と音楽の世界観にどっぷりと浸れます。


①数学者と人類学者の役割

数学者バルトロメオがすっかりお笑いキャラになっています。それはそれでキャラが立っているのですが、せっかくなので数学を駆使した活躍がもうちょっと見たかったです。

あと、人類学者が怪しいメンタリストのような扱いです 笑。人類学ってあういう学問なの!?


②主人公の嘘が気にならなくなる

今作では、主人公ピエトロ・ズィンニは、テロを未然に防ぐという強い意志を持って行動するがゆえに、あまり自らの行動について嘘をついたり誤魔化したりする場面が目立ちません。

大学で元恋人と再会したとき、「テロが起こるから会場に行くな」と、一見荒唐無稽な「真実」を述べますが、当然ながら恋人は相手にしません。今まで何度も恋人に嘘をつき、その場しのぎの誤魔化しをしてきた故に、狼が来た時に「狼が来たぞ」と言っても信じてもらえない狼少年状態なわけです。

そして、テロを未然に防いだあとは、「何でもない。新しい恋人に嫉妬して、めちゃくちゃなことを言ってしまった」と嘘をつきます。脱獄してきているため(72時間以内は脱獄じゃない?)、立場を隠し通さなければならないことを思い出しての行動なのですが、元恋人含め多くの人を救ったという事実も隠していることになります。

これはかっこいい嘘です。嘘つきだった主人公がヒーローになる瞬間です。






3作通しての総評(ネタバレ含みます)

1作ずつ、時系列も相互に重畳させながら、極めて完成度の高い3部作となっています。

オーシャンズ11のイタリア・コメディ版と評されることもある作品ですが、個人的にはより深遠なテーマを追求した、希代の傑作になっていると思います。



「科学というものの本質を表現した作品である」


1作目で、主人公たちは合法ドラッグを作成します。これは、違法ではありませんが、善悪の二元論で言えば「悪」に属する行為です。はじめは躊躇しつつも、主人公の仲間たちは合法ドラッグの作成に手を染め、あぶく銭で豪遊します。

一方、2作目以降では、どちらかと言えば「善」に属する行動をします。くしくも、考古学者が言ったように、「人生で初めて誰かの役に立っている」ということです。

彼ら自身は、研究者であり、学問を探求する人々です。学問の探求に生涯をささげてきたがゆえに、善悪に頓着がなく、純粋な存在なのです。善にも悪にもブレうる。


科学も、それ自体に善悪はありませんが、人に幸福や豊かさをもたらす目的に使われる場合もあれば、最悪の殺戮兵器として使われる場合もあります。

科学自体は純粋なものである。それが善になるか悪になるかは、使う人間次第である。そのようなメッセージが込められているのではと思わされてしまいました。



「科学界を風刺しつつも、その未来にエールを送っている」


ムレーナさんが地下鉄の駅で、学生の会話を目撃してからのシーケンスが熱い!

大学に絶望した元研究者たちが折り成すドラマなわけですが、大学での将来に希望を持つ若者たちを見て、あくまで「希望はある」と。これは、ムレーナさんの大学に対して残された愛でもあります。

また、最後のシーンで、主人公ピエトロ・ズィンニが、元恋人の後ろ姿を見送ってから「愛しているよ」とつぶやきますが、あれは元恋人に対してと同時に、大学に対しての想いが述べられているのだと思います。

憎しみを乗り越えた先に、大学に対して愛を見出した彼らは、きっと「成長」したのです。


元恋人が残す台詞、「あなたは授業料を取り立てることもできなかった。けれども、今ならきっとできる」は、まさに主人公の「成長」を示唆しています。

一時は悪に手を染めもしましたが、警察に協力し、そして脱獄してまでテロを食い止める行動を示した彼らは、きっと研究以外の分野でも立派にやっていけるでしょう。それが、最後の学生たちの台詞「きっと何とかなる」に繫がっているのだと思います。

これは、研究の世界に閉じこもっていた研究者たちの、偉大な成長物語でもあります。


・・・というのはたぶん考え過ぎでしょうが、まあ勘弁してください!笑


総合評価
「コメディの皮をかぶった傑作」

★★★★★ 5点

忙しいサラリーマンでも時間を作って見る価値:あり


関連記事:
いつだってやめられる3部作 パート1
いつだってやめられる3部作 パート2
いつだってやめられる3部作 パート3





いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(2作目)


ざっくりとあらすじ
刑務所服役中の主人公ピエトロ・ズィンニですが、今回は薬物撲滅のために警察から協力を求められます。新たな3人の不遇の研究者たちを仲間に加え、薬物摘発に奮闘。そこで遭遇したSOPOX(ソポックス)という謎のドラッグ。最後の最後にSOPOXの正体が明かされる、衝撃的な引き・・・




感想と考察(ネタバレ含みます)
2作目で主人公たちは「警察側」なので、1作目よりは感情移入しやすい構成になっています。作中で考古学者が言う台詞「人生の中でこれほど誰かの役に立っていると思ったことはない」というのはとても深い台詞です。

おじさんたちのキャラも立って愛着もわいてきたためか、思わず笑ってしまうようなシーンもいくつかあります。

頭脳を駆使して策を弄しても、どんくさくて計画通りに実行できない研究者たちの姿が愛らしい。

「GPSは中で、見張りは外!」

基本的な、いわゆる”天丼”なんですが、設定が面白すぎて思わず笑ってしまいます。

また数学者バルトロメオが列車から転落していくシーン。その絶妙な”間”と、役者さんの素晴らしい演技(一度着地した、と思わせてからの慌てぶり)で、見事なまでのシュールな映像になっています。

SOPOXにたどり着く上での鍵になるのが、前作で薬物中毒になってしまい、今作でリハビリ中の計算化学者アルベルト。せっかくドラッグを断っていたのに、SOPOXの謎が解けずにイラついて再び薬物に手を出してしまいます。そして見た映像の中で遭遇する「クロマトグラフ」。

ドラッグのためにピンチに陥ったが、結局ドラッグに救われるというのも何だか微妙なのですが、人間の弱さとドラッグによる潜在能力の引き出され方の怖さ(今回は役に立ったが)が描写された良い脚本と感じました。

①映像と音楽がかっこいい

1作目からそうなんですが、2作目の方が爽快感のある作品になっていることもあって、アメリを彷彿とさせるような原色強めの映像と、ダサいけどかっこいい研究者ギャング団のBGMに酔いひしれます。1作目よりも感情移入しやすいため、その世界観に没頭しやすいです。

②ピエトロ・ズィンニの嘘が気にならなくなってくる

今回は、極秘裏に警察に協力するという設定なので、警察側で動いているということを口外できません。従って、恋人にもやむを得ず嘘をつかざるを得ない状況になっています。映画を観ている側からすれば、ピエトロ・ズィンニの「その場しのぎのために嘘をついてしまう」というキャラが、「大儀名分のために嘘をつかざるを得ない」というようにアップデートされます。

仲間たちをそそのかすワード「俺たちは最高の頭脳だ」も、不遇の研究者たちの立場を考えれば熱い展開です 笑

3作通しての感想と考察は、3作目のあとに記載します。

「イタリアで想定外の大ヒット!」がキャッチコピーになっています。全く期待せずに見たところ、これはとんでもない傑作でした。3作つづけての感想と、考察です。


| いつだってやめられる 7人の危ない教授たち(1作目)


ざっくりとあらすじ
研究費削減の影響を受けて、職を失った天才研究者たちが、合法ドラッグを作成して大もうけ. 順風万帆に思えましたが、仲間がドラッグ中毒になったり、ドラッグ業界の大物を怒らせてしまったりして大ピンチ。最後は創意工夫で大逆転するも・・・!




感想と考察(ネタバレ含みます)
何の前知識もなく、それゆえに期待することもなく、ひまつぶし程度に観たのですが、これが想定外の面白さでした。華々しい過去の業績にも関わらず、大学から職を追われた研究者たち。現実でもありそうな悲哀に満ちた設定なのですが、それを吹き飛ばすようなコミカルさと痛快さ!

様々な分野の元教授たちが、自分たちの専門分野を生かして活躍するのですが、研究者独特のこだわりがあってなかなか話が前に進まなかったり、専門分野以外のことではどこか間抜けだったり、そんな愛すべきおじさんたちの群像劇です。台詞一つ一つに専門家魂(オタク魂?)が込められた、早口のイタリア語の会話劇も面白いです。

ただ、1作目を見た時点では、二点、どうしても納得がゆかず、主人公たちに感情移入しきれない部分がありました。

①主人公ピエトロ・ズィンニが嘘つきであること

本作の主人公たる「3つの学位を持つ」ピエトロ・ズィンニが、軽薄な嘘つき男に見えます。職を失ったことを恋人に伝えられず、その場しのぎの嘘でごまかそうとします。また、極秘裏に合法ドラッグを作成して羽振りが良くなっても、大学に勤めているふりをし続けます。朝帰りしたときもごまかそうとばかりしますが、ついに合法ドラッグを作っていることが露見し、恋人との関係は悪化します。

ピエトロ・ズィンニはまずい事実を伝えようとせず、すぐに誤魔化そうとする性格です。これは会話劇を面白くするための設定なのかも知れませんが、実はピエトロ・ズィンニが大学の職を追われることになったという事実に説得力をもたせることにもなっているんですよね。

天才的な業績があろうと、まずい事実をその場しのぎで誤魔化そうとする。これは研究者に限らず、社会人としては致命的です。これがピエトロ・ズィンニが大学の職を追われる一つの要因になったのかも知れないと思わせてしまうのです。

だから、「天才だが職を追われた研究者」という悲哀に満ちた設定がある一方、「そりゃクビにもなるよね」と思い、イマイチ感情移入できませんでした。
(ただし、この印象は3作目を観終わったあとには大きく変わります)


②研究者ギャング団がやったことは限りなく犯罪に近いこと

「違法薬物指定されるまでは合法だ」というのは所詮は詭弁で、「悪いと言われる前に悪い事しちゃえ」ということなので、これをブラックコメディーとして単に笑いとばせばいいのか、どうにも納得がゆきませんでした。

もちろん、法の抜け穴を辛辣に表現したかったという意図は分かりますし、「生きていくためには悪い事もせざるをえない」までに追い詰められた研究者を描写したかったのも分かります。が、途中までは、麻薬中毒の少年少女の更正の仕事をしている主人公の恋人の方に感情移入していまうような構成になっていると感じてしまいました。
(これに関しても、3作目を観終わった後に別の見解になりました)

ただし、ラテン語学者が作中でイラついて薬剤師を射撃してしまうシーンがありますが、あれはグレーではなく黒です 笑。さらに、記憶を消してしまえって 笑笑

あれがイタリアンジョークなのかなぁ・・・


一方、どこか駄目人間の雰囲気が漂う主人公たちと全く異なる雰囲気をまとうムレーナさんが良い味を出しています。

銃を持ってレストランに現れたときは、単なるヤクザ者かと思いましたが、「俺も流体力学をやっていた」「祖父はトライトン級潜水艦の竜骨を作っていた」の台詞でグッとキャラの造形が奥深くなる。


3作通しての感想は、3作目の最後に書きます!


関連記事:
いつだってやめられる3部作 パート1
いつだってやめられる3部作 パート2
いつだってやめられる3部作 パート3


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