世界のニュースを映画批評風に考察してみるブログ

経済(株)と映画が好きな人のためのブログ。世界のニュースを映画批評風に分析しています。新作旧作問わず、映画批評もやっています。


ポリスストーリー REBORN(2017年制作)を見て、ちょっと昔のジャッキー映画を見たくなったため、旧作レンタルしました。

ジャッキー・チェンの香港国際警察/NEW POLICE STORY(2004年公開)の感想と考察です。


|香港国際警察/NEW POLICE STORY


ざっくりとあらすじ
銀行強盗後にあえて警察に連絡させ、追ってきた警察を銃撃で返り討ちにする武装集団(当時流行りだしていたエクストリーム・スポーツ愛好家たち)を「3時間以内に捕える」と豪語して敵のアジトに乗り込んだジャッキー率いる警察チーム。しかし、武装集団の罠によって、ジャッキー以外皆殺しにされてしまう。その後、停職となり酒に溺れる日々を送っていたジャッキー。婚約者との婚約も解消に。そんなどん底のジャッキーだったが、「僕のヒーロー」と慕って近づいてくる若者”巡査1667"との触れ合いの中で、少しずつ立ち直り、武装集団逮捕へと向かっていく。


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感想と考察(ネタバレ含みます)
アメリカに進出して成功を治め、香港に帰ってきた「円熟期のジャッキー」の集大成ともいえる作品です。当時50歳くらい。ジャッキー特有のベタベタの笑いもなく、シリアスな雰囲気で物語が進んでいきます。

この時点(2004年)で、ジャッキーは新たな方向性を模索していたのだと、今から見れば思える作品です。ジャッキーは「どん底に落ちたかつてのヒーロー」役であり、巡査1667ことシウホンの助けの中でヒーローたる姿を取り戻していきます。

しかし、これは・・・傑作では??この年齢のときにできるジャッキー映画」としては、最高のものだと思いました。その理由を順に述べます。



1.「師匠」が「弟子」に導かれ、輪が閉じる
巡査1667ことシウホンは子供のころにジャッキーに救われた過去を持ちますが、その真実は物語の最後に語られます。時は流れ、どん底に転落したジャッキーの元に、天使のごとく成人したシウホンが現れ、ジャッキーに立ち直るよう促します。しかも、シウホンは偽刑事です。親が泥棒だったので刑事になれなかったと。ジャッキーを見て刑事に憧れたシウホンは、「刑事としてジャッキーを助ける」という夢を叶えるわけです(偽刑事ですが)。

「過ぎたことは忘れて、つらい気持ちを生きる力に変えるんだ」

そういって、シウホンが倒れているジャッキーのポケットに財布を戻すとき、リセットボタンが押されたかのようなカタルシスがあります。


2.酔ったジャッキーが素晴らしい
さすが酔拳の使い手、酔って前後不覚におちいったジャッキーの姿が見れるのが素晴らしいです。

3.ピークを過ぎつつあるがまだまだキレのあるアクション
2017年のポリスストーリーを見た後だからなのか、すでに老成の域に入りつつある2004年時点でもアクションがキレキレに見えます。これこれ、こういうのが見たかった!

元海兵隊員とのタイマン勝負がとても良いです。「素手で勝負しよう」。敵役がゲーム好きという設定があるからこそ、自然な流れてタイマン勝負となります。しかも、エピソード初期の1回目はボコられ、2回目は勝利するも時間オーバーだと言われて仲間を殺され、という流れを経てのレゴランドでの3回戦。ガチンコバトルで勝利します。その後、倒れた元海兵隊員がジャッキーの背中を撃とうとするのですが、撃つのをやめます。「怪我をしているから助けてやってくれ!」 そう訴えているジャッキーの姿は、まさに取り戻したヒーロー像です。

4.敵の武装集団が素晴らしい
敵役にどれだけ深みを持たせることができるかということが、アクション映画の中の駄作と名作を隔てる壁だと思います。単なる世の中なめくさったゆとり世代と思わせていた敵役の、過去のエピソードと犯行の動機が説得力を持って掘り下げられます

敵のリーダーのジョー・クアンは、警視総監の息子ですが、親に虐待された過去を持ち、警察を憎んでいます。(母親は逆に甘やかし放題というのも説得力を持たせるのに一役買っている) 最後、父親の前で射殺される姿は、敵ながらに親子の葛藤を思ってジワってしまうシーンです。

5.三菱の車!
ジャッキー映画といえば、三菱の車!この作品でも採用されています。ジャッキー映画で三菱の車を見なくなったのはいつからだろう?

6.ヒロイン(ホーイー)が若いころの井森美幸に見える!
2000年代初期へのノスタルジー(笑)


古典的な「ヒーローとしてのジャッキー」を過去の姿として哀愁を持たせながら、年の離れた奇妙な友情によってヒーロー像を取り戻していく。そして、敵役はIT時代がはじまった世相を反映して、オンラインゲームに興じる武装集団という時代性も取り込んだ、名作だと思いました。

エクストリームスポーツを取り入れたのは、ヴィン・ディーゼルのトリプルX(2002年)の影響かな?


キャスト
ジャッキー・チェン(チャン警部)
ポリスストーリーREBORNのレビューで書きましたが、ライジングドラゴン(2012年)以降は全然見なくなってしまいました。しかし、これは名作。

ニコラス・ツェー(巡査1667/シウホン)
この映画のMVP。劇中、出てきたときから圧倒的存在感。ジャッキーの影に、陽を照らすような役回りを見事に演じています。いい役者さんですね。ファンになってしまいそうです(笑)

ダニエル・ウー(ジョー・クアン)
この映画当時まだ若かったはずですが、敵役としてとても存在感を放っています。仮面をつけた姿が、どうしても若いころのTOKIO松岡に見えてしまう(笑)。以前レビューした、トゥームレイダー・ファーストミッションにも出演されていたようです(あの船乗りか!)。その他、ライジングドラゴンやウォークラフトにも出演あり。

チャーリー・ヤン(ホーイー)
どう見ても井森美幸(笑)。


総合評価
「ジャッキー映画の五指に入る」
★★★★★ 5点

疲れたサラリーマンも見るときっと元気がでる。

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少し前の話ですが、スターウォーズ・エピソード9(ライズ・オブ・スカイウォーカー)の予告編が公開されていて、”皇帝”パルパティーンが再登場するのではということが話題になっています。


エピソード7でスターウォーズをリブートさせたJJエイブラムス監督ですが、9ではもともとメガホンをとる予定はありませんでした。しかしながら、8の失敗や、その他もろもろの事情もあって、JJエイブラムス監督が戻ってくることになりました。ジョージ・ルーカスを召喚しないのであれば、最善の選択肢だと思います。


予告編公開とともに、JJエイブラムス監督のインタビューの機会も増えていますが、みていると「?」と思うこともあるので、ちょっと突っ込んでみたいと思います。



”JJエイブラムスが監督を引き受けた時点で、「脚本はない、しかし公開日は決まっている」という状況だった”



・・・ちょっと何言ってるか分からない(笑)


脚本がない??エピソード9をどう完結させるか決めずに7、8を作っていたの???開いた口が塞がらない・・・。やっぱり、7以降は作るべきじゃなかったよ。いや、作るんだったら、JJエイブラムスが責任をもって3部作を作ってほしかった。



とはいえ、「8」でライアン・ジョンソン監督がとんでもない方向にスターウォーズを持って行ってしまったケツをふけるのは、ジョージ・ルーカスかJJエイブラムスしかないでしょう。せめてもの期待を持ちたいと思います。


ある種の宗教とまで化しているスター・ウォーズシリーズ。生みの親であるジョージ・ルーカスですら批判されることがある神コンテンツの最終話を作るというのは、とんでもないプレッシャーでしょう。

自らがリブートさせた「7以降」の完結、そして40年に及ぶサーガの最終話として、どのような落としどころにしたのか、楽しみに続報を待ちたいと思います。


スターウォーズ・エピソード9の予告編

「誰一人消え去っていない」

どうせパルパティーンを出すのだったら、アナキンやオビワンにも出演して欲しいものです(そういう噂もありますが・・・)。

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しかし、改めて「エピソード9のストーリーが決まっていなかった」という笑えるのか泣けるのか分からない話を聞いて思うのは、もしかしたらエピソード8のライアン・ジョンソン監督も犠牲者だったかも知れないということです。

物語が巨大なサーガであるはずなのに、ストーリーのディテールが決まっていない状態で、「ハイ」とバトンを渡されても、正直どうしていいか分からないでしょう。だからこそ、メインストーリーはほとんど前に進まず、意味のない横展開を続けた挙句、なんとか独自色を出そうとして古典的なSW設定をもぶち壊してしまったのかも知れません。

責任はやはりディズニーか。。。

しかし、これは邪推ですが、ディズニーはSWの権利を買収した時点で、”とっとと古いSWを終わらせたかった”のかも知れません。そして、ディズニー色の新シリーズを量産していきたい。そうでないと、権利を買い取った金額をペイできませんから。。。

良くも悪くも、ディズニー製スターウォーズの本領は、スカイウォーカー・サーガが終了した後に発揮されるのかも知れませんね!


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ジャッキー・チェンのポリス・ストーリー REBORN(リボーン)の感想と考察です。2017年中国香港合作。


ポリス・ストーリー REBORN (原題:机器之血、英題:Bleeding Steel)


ざっくりとあらすじ

人工心臓でサイボーグ化した元兵士(アンドレ)率いる犯罪組織と闘いながら、ジャッキーが死んだはずの娘を守る話。死んだはずの娘が生きているのは、アンドレのサイボーグ化と因縁があった!




感想と考察(ネタバレ含む)

むかしはジャッキー・チェンの新作映画を欠かさず見ていましたが、ライジング・ドラゴン(2012年)を最後に見なくなっていました。寄る年波には勝てず、ジャッキーのアクションもキレを失ってきたこともありますが、何よりも「現実世界のジャッキー」の政治色が強くなりすぎてあまり受け付けなくなってしまったのです。

若いころのジャッキーは間違いなくヒーローでした。けれども、最近はちょっと政治的な発言が多くてね。色々と大人の事情もあるのでしょうが、大人の事情に配慮しなければいけない姿そのものが、ヒーローのイメージとかけ離れていて、若いころのイメージが崩れてしまいそうだったので、ジャッキーの映画には近づかないようにしていたのです。

そして今回の「ポリス・ストーリー」。名前がポリス・ストーリーじゃなかったら、きっと見なかったでしょう。ノスタルジーとともに、ジャッキーの原点回帰も少し期待して、久しぶりにジャッキー映画を見ました。すると・・・

これ、ポリス・ストーリーと違うやん!?

のっけからSF全開の世界観。敵役はスタートレックのボーグみたい(マスクを脱いだダース・ベイダーをイメージしたようですがw)。アヴェンジャーズの空母みたいなのも出てくるわ・・・

と思っていたら、ポリスストーリーは配給会社がつけただけで、原題は違うんですね。ポリスストーリー詐欺(笑)  なんじゃ~こりゃ~。口ポカーンですわ(笑) まあ、エンドロールにポリスストーリーのテーマとNG集があったのは良かったけど。

うーん。

ただ、そんな突っ込み満載のトンデモ設定を受け入れてしまえば、まずまずの面白さ。全盛期のキレはありませんが、アイデア満載のアクションはまだ健在です。

ただね、役柄が「義を重んじるヒーロー」とは違って、「娘のために戦うパパ」なんですよね。ここにスケールの小ささを感じてしまう。これ、別に警察設定いらないよね?

ただ、リスンの最後の台詞「あんたらは悪党だ。俺はこれからジャッキー・チェンと食事だ」が良かった。劇中では大した意味を持たないない言葉なんでしょうが、ジャッキーは正義の味方なんだぞ、というメッセージが込められているようでほんのちょっぴり救われた。

総合評価 「続編は別にいいです」
★★☆☆☆  2点

まあまあ面白いですが、忙しいサラリーマンがわざわざ時間を作って見るほどではないかな

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興行的には失敗といわれるスターウォーズのスピンオフ作品、ハン・ソロの感想と考察です。それなりにSWファンですが、熱狂的というほどではない者のつぶやきです(笑)

ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー


ざっくりとあらすじ
スターウォーズシリーズでハリソン・フォードが演じたアウトロー「ハン・ソロ」の若き日を描いたスピンオフ作品です。スターウォーズ・エピソード4の10年ほど前から始まります。チューバッカやランド・カルリジアン、そしてミレニアム・ファルコン号と出会う物語。



感想と考察(ネタバレ含みます)

全く期待せずに見たローグ・ワンがかなりの名作であったこと、一方でメインストーリーのエピソード8・最後のジェダイがあまりにも酷い出来であったことを受けて、「今回はどっちだ?」と。しかし、興行的に失敗という噂を聞いていたので、正直あまり期待せずに見ました。すると・・・

けっこう面白いじゃないですか!?

これ、そんなに評判悪いの??ローグ・ワンほどではないですが、スターウォーズの派生作品としては十分及第点なように思いました。

スターウォーズ・エピソード4を相当意識した、ちょっと古臭いけどそれなりにワクワクもある冒険譚。列車強盗のシーンとか、結構迫力ありました。古典的だけど、いろいろとどんでん返しもありました。ソロとチューバッカの掛け合いも軽妙。
L3がミレニアム・ファルコン号に組み込まれるシーンもジワる・・・うーん、そんな駄目かなぁ・・・

メカも古臭くてよかった。レーダーがオシロスコープみたいなのも、アナログでいい。そう、スターウォーズのメカの魅力は、「宇宙を駆るアナログ」なんです。調子悪いときも、叩けば直る(笑)

確かに、全く前知識のない人が見たら、ちょっと古臭い香りのするありがちな冒険譚に過ぎないのかも知れませんが、エピソード4の前日譚という制約が課せられていることを考慮すれば、この作品は大成功と言えるのではないでしょうか。

その他、良かった点。
1.ベケットがいい味出している!
小悪党なのですが、すごくキャラが立っている。ソロとの微妙な師弟関係みたいのも良かったです(ある意味で、エピソード8のレイとルークの希薄すぎる師弟関係よりは師弟だった・・・)。最後、ソロに撃たれたあとも納得の表情、駆け寄るソロとの奇妙な友情!

2.何といってもダース・モール!
そこまで熱心なファンではないので、ダース・モール(現在はただのモール)がサブストーリーの中で生存しているということを知りませんでしたので、個人的には衝撃的な引きでした。というか、弟かと思ったw  後から考えれば、ドライデンの持っていたナイフが、双刃のライトセーバーと重なるデザインでした。現在のモールの立ち位置としては、自分を真っ二つにしたオビワンを恨みつつ、自分の弟を殺したダース・シディアスも恨んでいるとのこと。

3.同盟軍!
うーむ、ソロたちが奪った燃料が、同盟軍誕生の鍵となっていたとは・・・完全なサイドストーリーかと思っていたら、わりとメインストーリー(本流)との関連性をぶっこんできた。

4.安定のロン・ハワード監督!
ここで、ベテランのロン・ハワード監督ですか。。。だったら、何故エピソード8をそうしなかった!?と言いたい気持ちを抑えつつ。古典的かつ安定感のある作りとなったのは監督の手腕が大きいでしょう。ところで、ジョージ・ルーカス&ロン・ハワードのコンビで思い出すのは、「ウィロー」なんですが、ウィローに出てきたような小人症の役者さんが同盟軍に混じっていましたね。ウィローへのオマージュを混ぜ込んだのだと思いました。

そして疑問に思う点。キーラとは何者なのか?

若きハン・ソロの恋人でしたが、どうやらのっぴきならない闇に足を突っ込んでいる様子。トライデンの奴隷かと思いきや、モールと機密を共有する関係とのこと。キーラはモールの弟子で、暗黒面のフォースの使い手なのでしょうか? レイの母親であるとの説も出ているようです。特に修行も訓練もしていないレイのフォースが強く、暗黒面の素養がある理由がエピソード8までの時点で全く語られていませんが、そのように考えるとつじつまが合ってしまう。いろいろと妄想が広がるのも、こういうサーガものの醍醐味かも知れませんね。


このように、ハンソロ/スターウォーズ・ストーリーはスターウォーズの古典的な雰囲気をしっかり踏襲しつつ、サイドストーリーながら本流の話につながる、まさに保守本流といえる作品でした。


総合評価
「意外とスターウォーズの保守本流!」

★★★☆☆ 3点
単品としても完成度が高く、SW全然知らなくてもある程度楽しめます。

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世界のニュースを映画批評風に考察してみるシリーズ第2弾、安倍首相のイラン訪問についてです。


アメリカとイランの緊張が高まる中、2019年6月12日~14日、安倍首相が日本の総理大臣として41年ぶりにイランを訪問いたしました。この件について、テレビのニュース解説や、解説記事をいくつも見ましたが、正しいようでどうもしっくりこない感じがありました。そこで、独自目線で考察してみたいと思います。ちなみに、株好きとして国際情勢をウォッチしていますが、国際政治の専門家でもなんでもありません。株好きオヤジが原油高を心配しながら居酒屋でくだ巻いているレベルと思ってみてください(笑) 

2019年日本・イラン首脳会談


ざっくりとあらすじ
2019年、中東の大国たるシーア派の雄・イランと世界の超大国アメリカの対立は深まっていました。一つのきっかけは、トランプ大統領が「オバマがイランと結んだ核合意はインチキだ!」と言い出したことです。アメリカの同盟国にはイスラエルやスンニ派の雄・サウジアラビアもあるため、事態は複雑です。イランとアメリカの非難合戦ののち、アメリカは艦隊をペルシャ湾に派遣するまでになりました。一触即発の戦争の危機・・・そんな火事場に、日本の総理大臣が41年ぶりに乗り込んでいくのでした。イランは伝統的に親日国であり、一方アメリカと日本の同盟関係も戦後最高のレベルまで高まっています。安倍首相はイランとアメリカをうまく仲介できるのでしょうか・・・?



感想と考察
その結末は、みなさんもご存じの通り、「仲介失敗」でした。安倍首相がイラン訪問中に、トランプ大統領がイランへの追加制裁を発表するわ、真相はまだ闇の中ですが日本のタンカーが攻撃されるわ(ただし、掲げていたのはパナマ国旗)・・・

あげくの果てに、
イラン「アメリカと話をすることなど何もない」
アメリカ「タンカー攻撃はイランの責任だ」

と非難合戦となり、かえって緊張が高まる始末・・・安倍首相にしてみれば、「いや・・・ちょ、ま・・・w」と言いたいことでしょう。

戦争の仲裁は失敗し、参院選に向けての外交成果をアピールしたかった安倍首相の目論見は外れた、意味のない外遊だった。というのがおおかたの見方です。

たしかに、「一度の訪問で戦争を仲裁する」という観点からみれば「失敗」でしょう。しかし、本当にそれだけでしょうか。短期的な目線だけではなく、長期的な目線から分析した解説がないように感じたため、たぶんテレビやニュース記事の解説に違和感を覚えたのではないかと思いました。そこで、長期的目線から今回のできごとを独自目線で考察してみたいと思います。

まず、大前提として、

安倍首相はもともとイランを訪問したかったのではないか?

という観点がないのではないかと思います。日本とイランは伝統的に友好国。できればイランから原油の輸入も行いたいし、原油の輸入のためのタンカーの多くがホルムズ海峡を通ることから、イランとの友好関係を維持したい。

しかしながら、イランは世界から孤立していて、トランプ大統領になってからイランとアメリカの緊張状態は悪化しています。

アメリカがイラン悪者発言を繰り返している中で、安倍首相が勝手にイランを訪問したとすると、「お前、どっちの味方やねん!?」「やっぱりジャップは油断ならない裏切り者!」と言われかねません。

そこで、”トランプ大統領に頼まれてイランを訪問する”という形を作ったのではないかと思います。こうすれば、アメリカのメンツも立つし、日本もアメリカから裏切り者扱いされることなく堂々とイランを訪問できます。

そうして、安倍首相は41年ぶりにイランを公式訪問し、さらに日本の総理大臣としてはじめて最高指導者とも会談ができたのです。従って、”戦争の仲裁”ができれば最高の結果であったことには間違いありませんが、ひとまずイランを訪問して(西側諸国から非難されることなく!)友好関係を確認することができたことこそが大事なのではと思います。

つまり、「イランを訪問したが何も成果がなかった」ということではなく、「(おおむね)何事もなくイランを訪問することができた」ということが最大の成果なのです。

では、今回のイラン訪問を、日本はどのように活かしていくべきでしょうか?
安倍首相のイラン訪問の長期的意義

1.北朝鮮問題
イランと北朝鮮ともに西側諸国から孤立していることから、独自のパイプがあると思われます。イランとの友好関係とそのチャンネルを維持することは、北朝鮮問題においても「てこ」の一つとして使えるときがくるかも知れません。

2.戦争回避のチャンネル維持
アメリカとイランの対立が今後どのように変化していくかは分かりませんが、「イランと最も親しい西側諸国の一つ」という立場を鮮明にできたため、今後、戦争回避の交渉においてまた大きな役割がまわってくるかもしれません。

しかし、イランには敵対勢力もあるため、イランとの親密さはリスクにもなりえます。「あくまで平和を望むため」という立場を徹底しておいた方が良いように思います。

3.自衛隊の危機回避
実は、これが最も大きいのではないかと個人的には思います。最悪のシナリオ「アメリカとイランが全面戦争に突入する」という場合、アメリカの戦争に自衛隊が駆り出されるというリスクがあります。これは、安保法制のときに反対派の人々が主張していた通りです。

特に、映画「空母いぶき」のレビューで触れましたが、最近自衛隊はアメリカ軍との一体化が進んでおり、日本のプレゼンスと抑止力が高まっている一方で、アメリカの戦争に巻き込まれるという危険性も高まっています。

そこで、
・日本とイランは伝統的に友好国である。
・日本は戦争回避のために努力をした。

ということを世界にアピールしておくことで、万が一アメリカが「イランを攻撃するからちょっくら自衛隊も参加してくれ」と言ってきたときに、「日本は平和主義国家でありイランとも友好国であるため、中立とさせていただきます」と言いやすくなるという効果はあるのではないかと思います。(ただし、なるべくこうならないために戦争回避の努力を続けることが最も大事でしょう)

スポンサーリンク 私が知らないだけでこういうことを言っているテレビ解説員とかはいるのかな?


総合評価(映画批評風に) 「現時点では失敗とも成功とも言えない」
★★★☆☆  3点

長期的にこれを生かすための努力が必要です。
 


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