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トランプ大統領がグリーンランドの土地買収に言及した戦略的意味

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毎度お騒がせのアメリカのトランプ大統領が、グリーンランドの土地買収に興味を示したと報道がありました。

全ての報道がそうとは思いませんが、なんとなく「不動産王」であったトランプ大統領が、単なる土地取引のノリで言っていて、グリーンランド自治政府及びデンマーク政府は「馬鹿げている!」と一蹴した、という”雰囲気”の報道になっています。

しかしこれ、バカなトランプがバカなことを言っている、で済ませて良い問題なのでしょうか。ここには様々な国の深慮遠謀がひしめいているように思いますので、ちょっと考察してみたいと思います。・・・と偉そうなことを言っていますが、単なる株好きオヤジが経済動向を心配しながら居酒屋でくだ巻いてるレベルですのであしからず(笑)

 

グリーンランドをめぐる各国の深慮遠謀(2019年)

ざっくりとあらすじ(スターウォーズ調に)

グリーンランドを買収したい!

それは本質的に大きな不動産取引になる!!

トランプ大統領の発言に

世界中がざわめいた

 

グリーンランド自治政府及びデンマーク政府は

即座に不快感を示し

「グリーンランドは売り物ではない」

そう反発した

 

グリーンランドには既にアメリカ軍の基地がある

一方で、中国もグリーンランドに空港を建設しようとしている

様々な国の思惑がひしめく中

グリーンランド自治政府にも野心があった・・・

 

感想と考察と独自目線での解説

 

キープレイヤー中国

この報道で一番最初に思い出したのは、中国です。記事を探してみたところ、2018年の産経新聞の記事が見つかりました。

世界最大の島グリーンランドに中国が接近:一帯一路は北極へ(産経新聞)

つまり、中国は一帯一路の拠点としてグリーンランドに関心を持っている。これが一つの要因です。

グリーンランドの空港建設に中国が資金援助を行うことに対して、アメリカのマティス前国防長官が懸念を示したという経緯もあります。(中国の援助による空港建設の話は、2019年6月には、おそらくアメリカの圧力もあり頓挫しているようです)

 

グリーンランド自治政府 vs デンマーク政府

さらにこの問題の背景には、グリーンランド自治政府 vs デンマーク政府があります。

先住民の多いグリーンランド自治政府は独立志向が強く、2009年に外交や安全保障を除く広範囲の自治権をデンマーク政府から獲得しました。しかし、自治は獲得したものの、お金がありません。現在は、自治政府予算の半分をデンマーク政府の補助金に頼っている状況です。

グリーンランドは土地のほとんどが永久凍土に覆われた不毛の土地ですが、その地下にはレアアースを含む、莫大な資源が眠るといわれています。また、地球温暖化の影響で、少しずつ凍土が溶けて資源を採掘しやすくなってきているという現状もあります。

つまり、

  1. グリーンランドはデンマークから完全に独立したい。
  2. しかし、グリーンランドには金も産業もない。
  3. 地下には莫大な資源がありそう。

こういう状況です。

グリーンランドはデンマーク以外からの金と投資が欲しい。そこに中国の一帯一路が乗っかってくるわけです。

 

グリーンランドの地政学的意味

さて、緑の少ないグリーンランドに「グリーンランド」と名づけたのは、移民を促進するためのいわばプロパガンダであったという説がありますが、それはさておき、グリーンランドという島の場所が持つ地政学的意味は地球温暖化とともに大きくなってきています。

日本ではそれほど注目されていませんが、「北極海航路」をめぐって、北極海沿岸部の熾烈なパワーゲームが繰り広げられています。

北極の氷が解けることで、船の往来が容易になるということや、北極海の地底に眠る資源も採掘しやすくなることが予想されています。

グリーンランド自体が、北極海の利権を争そう上で重要な拠点となりますし、もしグリーンランドが独立すれば、北極海における重要なプレーヤーの一員となるでしょう。

 

アメリカの参戦

今回のトランプ大統領の発言は、そういう流れを受けて、「北極海利権にアメリカもいっちょ噛みするぜ」という宣言の意味もあると思われます。加えて、中国の一帯一路に対抗するためのものであることは言うまでもないでしょう。

 

米中による次世代の覇権争いが続いています。現在、「貿易」が主戦場でありますが、為替操作国認定、ファーウェイ、南シナ海、台湾問題、香港問題などに加えて、「グリーンランド」が新たな係争事案となる可能性を示唆しています。

 

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トランプ大統領は9月上旬にデンマークを訪問し、フレデリクセン首相や、グリーンランド自治政府のキールセン首相と会談をする予定でしたが、その会談が延期はなりました。

一発パンチをかましてから交渉のテーブルにつくトランプ流ディール。今回は予想以上に反発が強かったものと思われます。

ただ、言い方がきつくてデリカシーがなかっただけで、グリーンランドの投資や安全保障にアメリカがもう少し関与を深めるということは全然ありえる話だと思います。今後、事務方レベルでの調整が行われることでしょう。

グリーンランド及び北極海事案は、今後も当サイトでウォッチしていきたいと思います。

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もう一つのビッグプレイヤー・ロシア

北極海の覇権は譲れぬ大国ロシア。今回のトランプ大統領の発言に対してロシアは公式には反応を示していないようです。

ロシアは「友好国」中国の、北極海利権への参戦を苦々しく思っている一面もあります。マルチプレイヤーの深慮遠謀が渦巻く熱い北極海、北極海特集はまた別の場でちょっとまとめてみたいと思います。

 

まとめメモ

グリーンランドの土地は、アメリカのみならず、グリーンランド自治政府、デンマーク政府、中国、ロシアなどの思惑が交錯する北極海の戦略上の要衝でもあります。

総合評価

「言い方は悪かったが部分的には現実味がある」

★★★☆☆ 3点

ただその後非難の応酬のようになっているのはいけません。

 

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