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いつだってやめられる3部作 パート3:科学界の問題に陽を当てた傑作の完結編

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いつだってやめられる 闘う名誉教授たち(3作目)の感想と考察 (2017年)

ざっくりとあらすじ

2作目で、警察に協力することによって罪を消されるはずだったのですが、警察の裏切りにより再び犯罪者になっていまいます。しかし、SOPOXの文字からテロ計画を見抜いた主人公ピエトロ・ズィンニは、テロ防止のため仲間を集め、脱獄を試みようとします。史上最もオタクな脱獄。そして敵と対峙しますが、敵にも涙なしには語れない過去があった。研究者を見捨てようとする大学の闇が描かれますが、最後には希望が・・・

感想と考察(ネタバレ含みます)

3作目での主人公たちの立場は、「グレーな犯罪者」でも「警察側」でもなく、「犯罪者の汚名を着せられているが正義のために闘う人たち」に昇華しています。王道ですが、最も視聴者の感情移入を得やすい設定です。


また、1作目の敵が味方になるというのも、王道中の王道ですが、安心して観れて視聴者の心を最もつかむがゆえに王道なわけです。従って、この作品を3作全体を一つとして考えるなら、素晴らしい構成になっていると言えるでしょう。
この作品、敵も味方も全て研究者というのが、今までにない面白い設定であると同時に、「それほどまでに追い詰められる厳しい研究業界」を示唆しているのだと思います。


敵役も元研究者なのですが、テロを企むマッドサイエンティストというような、ありがちの設定ではないところが白眉です。敵役のドラマも十分に掘り下げられ、大学を憎むに至った動機に説得力がもたされます。


そういうシリアスな描写も増える一方で、しっかりとコメディの要素も残っています。個人的にお気に入りは、オペラのシーン。「原作を超えるアドリブを考えるんだ!」とラテン語学者が豪語してからのグダグダのくだり 笑 


実際にはアドリブではないわけなのですが、アドリブに見せる役者さんたちの演技が素晴らしいです。計算化学者のアルベルトさんの、「俺、どうしたらいいの?」的な迫真の演技が笑えます。しかし、歌うまいですね 笑


3作目とのこともあって、キャラにも愛着がわいてきて、美しい映像と音楽の世界観にどっぷりと浸れます。

①数学者と人類学者の役割

数学者バルトロメオがすっかりお笑いキャラになっています。それはそれでキャラが立っているのですが、せっかくなので数学を駆使した活躍がもうちょっと見たかったです。

あと、人類学者が怪しいメンタリストのような扱いです 笑。人類学ってあういう学問なの!?

②主人公の嘘が気にならなくなる


今作では、主人公ピエトロ・ズィンニは、テロを未然に防ぐという強い意志を持って行動するがゆえに、あまり自らの行動について嘘をついたり誤魔化したりする場面が目立ちません。


大学で元恋人と再会したとき、「テロが起こるから会場に行くな」と、一見荒唐無稽な「真実」を述べますが、当然ながら恋人は相手にしません。今まで何度も恋人に嘘をつき、その場しのぎの誤魔化しをしてきた故に、狼が来た時に「狼が来たぞ」と言っても信じてもらえない狼少年状態なわけです。


そして、テロを未然に防いだあとは、「何でもない。新しい恋人に嫉妬して、めちゃくちゃなことを言ってしまった」と嘘をつきます。脱獄してきているため(72時間以内は脱獄じゃない?)、立場を隠し通さなければならないことを思い出しての行動なのですが、元恋人含め多くの人を救ったという事実も隠していることになります。

これはかっこいい嘘です。嘘つきだった主人公がヒーローになる瞬間です。

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3作通しての総評(ネタバレ含みます)


1作ずつ、時系列も相互に重畳させながら、極めて完成度の高い3部作となっています。

オーシャンズ11のイタリア・コメディ版と評されることもある作品ですが、個人的にはより深遠なテーマを追求した、希代の傑作になっていると思います。

「科学というものの本質を表現した作品である」

1作目で、主人公たちは合法ドラッグを作成します。これは、違法ではありませんが、善悪の二元論で言えば「悪」に属する行為です。はじめは躊躇しつつも、主人公の仲間たちは合法ドラッグの作成に手を染め、あぶく銭で豪遊します。

一方、2作目以降では、どちらかと言えば「善」に属する行動をします。くしくも、考古学者が言ったように、「人生で初めて誰かの役に立っている」ということです。

彼ら自身は、研究者であり、学問を探求する人々です。学問の探求に生涯をささげてきたがゆえに、善悪に頓着がなく、純粋な存在なのです。善にも悪にもブレうる。

科学も、それ自体に善悪はありませんが、人に幸福や豊かさをもたらす目的に使われる場合もあれば、最悪の殺戮兵器として使われる場合もあります。

科学自体は純粋なものである。それが善になるか悪になるかは、使う人間次第である。そのようなメッセージが込められているのではと思わされてしまいました。

「科学界を風刺しつつも、その未来にエールを送っている」

ムレーナさんが地下鉄の駅で、学生の会話を目撃してからのシーケンスが熱い!

大学に絶望した元研究者たちが折り成すドラマなわけですが、大学での将来に希望を持つ若者たちを見て、あくまで「希望はある」と。これは、ムレーナさんの大学に対して残された愛でもあります。

また、最後のシーンで、主人公ピエトロ・ズィンニが、元恋人の後ろ姿を見送ってから「愛しているよ」とつぶやきますが、あれは元恋人に対してと同時に、大学に対しての想いが述べられているのだと思います。

憎しみを乗り越えた先に、大学に対して愛を見出した彼らは、きっと「成長」したのです。

元恋人が残す台詞、「あなたは授業料を取り立てることもできなかった。けれども、今ならきっとできる」は、まさに主人公の「成長」を示唆しています。

一時は悪に手を染めもしましたが、警察に協力し、そして脱獄してまでテロを食い止める行動を示した彼らは、きっと研究以外の分野でも立派にやっていけるでしょう。それが、最後の学生たちの台詞「きっと何とかなる」に繫がっているのだと思います。

これは、研究の世界に閉じこもっていた研究者たちの、偉大な成長物語でもあります。

・・・というのはたぶん考え過ぎでしょうが、まあ勘弁してください!笑

総合評価


「コメディの皮をかぶった傑作」

★★★★★ 5点

忙しいサラリーマンでも時間を作って見る価値:あり

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